旅のブログ

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高千穂の夜神楽@大濠公園能楽堂in福岡on28日

【大濠公園能楽堂】
大濠公園能楽堂

28日午後、「高千穂の夜神楽」公演を大濠公園能楽堂(福岡市中央区)に見に行きました。

今回の高千穂の夜神楽公演は、宮崎県主催で知事も開会のあいさつするという力の入れようでした。「高千穂の夜神楽の世界」と題し後藤・高千穂神宮宮司が講演を行ったのち、八つの舞いが「三田井地区神楽保存会」によって上演されました。
宮司の講演を聞きながら、生活と宗教は切り離しがたく結びついているのを実感すると同時に、さまざまな文化や習慣、宗教観を持ったひとたちが一緒に住む現在、そして身の回りの現実とのギャップを思い描いたのでありました。

演目は、彦舞、杉登、岩潜り、弓正護、手力雄、鈿女、戸取、御神体でした。その多くは、精神性や宗教性を主体にしたものであったと思います。声がよく通り、いい声だな~と思っても、何を言っているのかわからない、という不思議なギャップも感じました。舞いは、彦舞、杉登など、ひたすら祈り舞いを奉納するという感じで、その所作がどういう意味を持っているのか、一連の動きはどういう流れなのか、などなどよくわからないままで、恥じ入るばかりの爺でありました。テロップか紙捲りで、現在の進行状況を教えてもらうのも初心者にはありがたいな、などと勝手なことを思ってしまいました。

四本の剣、それぞれの両端を四人がつかみ、踊りながら潜り体を反転させる、ある種曲芸的要素もあるように見える「岩潜り」などは観客から自然と拍手もわき、「ああ、見てわかる所ではみんな拍手しているし、爺だけが分からなかったのではないのかも…」と思ったりもしました。そういった意味では、「御神体」は、おどけの要素もある、自然と笑いも起こる演目で、先に上演された演目で緊張感が充満していた能楽堂の雰囲気も、この「御神体」上演でずいぶん和んだように感じることができました。

高千穂神楽の概要や、当日演目解説のパンフレットなどもありましたので、読み直すとなるほど、と思うものの、見ているときにはたくさんのハテナが一杯飛び回っているばかりの爺でした。「正しい神楽」との保存会の上演後のあいさつがありました。祈りを中心に精神世界を大事にした神楽の世界なのだろうと思いました。

爺は岡山県内に住んでいるということもあり、「備中神楽」の「大蛇退治」(おろち・たいじ)に代表されるような比較的物語性もあり、見ていてわかる、ある程度のエンターテインメント性、動きが激しい、そういった神楽を身近に感じていたのを改めて感じる機会にもなりました。どちらが良いとかいうものでもなく、多様性のある「神楽」が自然に存在している、というのが大切なんでしょうね…。

宮崎県では、「神楽」を地域おこし、観光誘客のコンテンツとしても活用したい意向のようです。また、「神楽」自体を世界遺産に登録したい、との目標もあるようです。

1990年11月に岡山県成羽町(現高梁市)で「神楽サミット」があり、早池峰(岩手)、霜月(長野)、津野山(高知)、銀鏡(宮崎)、備中(岡山)のあわせて五つの神楽が上演されました。その時以来の高千穂神楽でした。中には、高千穂神楽以上に静かで祈りに集中した神楽もあったのを記憶しています。

神楽と言えば、55年くらい前でしょうか、小学生のころ近くの神社で一夜通しの上演があったのを記憶しています。「高千穂の夜神楽」でも、33番全部を上演すれば、朝を迎えることになるのだそうです。